看護師(ナース)取材のコツやポイント!ありがちな失敗例やおすすめ質問例もご紹介

医療の現場に欠かせない、看護師(ナース)。
多くの人々が日頃からお世話になっている存在で、テレビドラマやドキュメント番組、小説や漫画などの題材としてもよく取り上げられているため、世間の注目度が高いです。

看護師のインタビュー記事は、病院のHPや公式ブログ、看護学校や看護系学部のパンフレット、看護の専門誌・専門サイトなど、さまざまなメディアに掲載されています。
この記事では、看護師(ナース)取材のコツやポイントを詳しく解説していきますので、実践の参考にしてみてください。

【こんな方におすすめ!】

  • はじめて看護師(ナース)に取材するため、成功のコツやポイントが知りたい方
  • 医療業界・看護業界ならではの注意点や、配慮すべき内容を知りたい方
  • 専門性の高い職業なので、相手の話をきちんと理解できるか不安に思っている方

看護師(ナース)取材の失敗あるある

まずは、看護師(ナース)への取材でありがちな失敗について解説していきます。

対人取材全般に共通する注意点から、看護師という職業だからこそ必要になる配慮まで、5つの失敗例をピックアップしてみました。

準備不足で質問が不明瞭

「事前のリサーチが甘すぎて、取材のときに良い質問が思い浮かばなかった。」
「質問の意味が伝わりにくかったのか、対話が成り立っていない感じがした。」

こちらは、すべての対人取材で失敗につながりやすい例です。
対人取材では、取材前にしっかりとリサーチを行って、質問も事前にいくつか準備しておくのが基本。
準備が甘いと質問の目的が不明瞭になり、会話がスムーズに進まないばかりか、相手に混乱や不快感を与えてしまうこともあり得ます

また、看護師の仕事は非常に多忙であり、取材対象者は貴重な時間を割いてくれています。
インタビューをより有意義なものにするためにも、取材相手の貴重な時間を尊重するという意味でも、効率的に取材を進めることが重要なのです。

対話ではなく一方的なインタビュー

「質問リストをもとに取材を進めたものの、相手は話しにくそうだった。」
「一問一答のような、つまらない取材になってしまった。」

こちらも、あらゆる対人取材に共通する失敗例です。
インタビュアーは「聞き手」の立場ですが、取材は自然な対話形式で行われるのが理想
聞き手が話し過ぎてはいけない反面、一方的に質問リストをこなすだけになっても、良い取材はできません。

相手が語りたいことや思いを察知して、それを深く掘り下げていく質問をするのが、インタビュアーの役割であり、腕の見せどころなのです。
看護師の価値ある視点や貴重な経験を聞き逃さないためにも、話し手が表現しようとしていることを理解しながら取材を進める必要があります。

専門用語についての理解不足

「専門用語が出てくるたびに質問をしてしまい、取材がスムーズに進まなかった。」
「取材でスルーした不明点を執筆時に確認したら、そもそも会話が成立していなかった。」

看護師(ナース)の方々は医療やケアの専門家であり、対話の中で特定の専門用語を用いることがあります。
何年も専門的な勉強をして現場経験を積んできた看護師の方の言葉をすべて理解するのは難しいかもしれません。

しかし、ある程度は専門用語や業界についての知識を持っていないと、取材中や執筆時に誤解や混乱が生じます
わからないことはその場で質問しても良いのですが、あまりにも頻繁だと会話がスムーズに成り立たず、本来の質問に集中できなくなることも考えられるでしょう。

感情に配慮しない質問

「取材中にインタビュイーが泣き出してしまった。」
「経験談をヒアリングしていたら、これ以上は話したくないと言われてしまった。」

看護師(ナース)の仕事は、身体的に大変なことはもちろん、精神的にもかなりの負担がかかります。
命を救うために必死になったり、患者さんが亡くなる瞬間を見守ったりなど、感情的に困難な場面も多々あるでしょう。
そのため、患者の死や困難な状況について無神経に尋ねてしまうと、取材対象者の心を深く傷つけてしまう危険性があります。

取材では過去の事例や経験を尋ねるシーンもあるかと思いますが、感情に配慮しながら質問をして、相手が「話したい」「話してもいい」と思える範囲に留めることが重要です。

プライバシーの侵害

「患者さんの年齢や病状の詳細を尋ねたら、答えられないと言われた。」
「後で校閲するから大丈夫と思って質問を続けていたら、相手が困惑したご様子に…。」

看護師(ナース)をはじめとした医療従事者には、患者のプライバシーを保護することが法的にも倫理的にも求められています
そのため、患者の個人情報について詳しく尋ねることは避けるべきです。
また、医療機関の内部情報についても、許可なく公にすると問題になってしまうことがあります。

もちろん、過去の事例や経験談を尋ねるときには、詳しい情報をもらったほうが望ましい場合もあるでしょう。
しかし、こちらが全くプライバシーへの配慮を見せずに質問責めをすると、不信感・不快感を抱かれてしまう可能性が高いです。

看護師(ナース)取材のコツ

次に、実際に看護師(ナース)の方に取材するときのコツを解説していきます。
取材前の準備段階から取材現場のことまで、必ず押さえておきたいポイントを絞りましたので、ぜひ参考にしてください!

事前調査を十分に行う

看護師(ナース)の取材に限ったことではありませんが、対人取材では事前のリサーチが必須です。
その職業や職場、業界全体に関する調査を十分に行ってこそ、より具体的な質問が可能となり、インタビュイーから有益な情報を引き出せます
また、事前調査をしっかりと行うことによって、インタビュアーが真剣に取材に取り組む姿勢を示すことができるでしょう。

調査のポイントとしては、取材対象者が携わっている仕事内容や専門分野についての基礎知識、勤めている病院やクリニックの診療方針などが挙げられます。
ある程度の用語や知識を取材前に獲得しておくことで、取材当日の対話がスムーズになることはもちろん、執筆時の負担が大幅に減るはずですよ!

媒体や記事の目的を理解して質問リストを作る

看護師(ナース)の取材記事には、さまざまな種類があります。
学校のパンフレットやHP、病院のHPや公式ブログ、看護業界の専門誌や専門サイト、ときには新聞に掲載される特集記事なども。
対看護師に限ったことではありませんが、まず媒体の方向性や記事の目的を理解してから取材を進めないと、必要な情報を十分に得ることはできません

たとえば、学校パンフレットの卒業生インタビューや病院のスタッフ紹介では、看護師になりたいと思ったきっかけや、日々の看護で心がけていること等が鉄板の質問です。
一方で、学術的な色合いが強いメディアの場合は、より専門的な質問が必要になってくるでしょう。
媒体や記事の方向性に沿った質問を事前に考えてリストにしておくと、取材当日に漏れなくヒアリングすることができます

相手に対する尊重と共感を示す

看護師の仕事は肉体的にも精神的にもシビアなので、相手の感情に寄り添い共感すること、経験や専門知識にリスペクトを示すことが重要になります。
あまりにも直接的な質問や無神経な発言は避け、インタビュイーが安心して話せる環境を提供することが大切です。

ただ、共感の姿勢を示そうとして「大変ですよね」「つらかったですね」などの言葉を連発すると、逆に心を閉ざされてしまう危険性があります。
ときには「私には想像もできませんが…」のような枕詞を用いるほうが、相手へのリスペクトにつながるものです。

また、インタビュアーの中には看護師に対する憧れや理想像を持っている方も多いかもしれません。
しかし、「看護師とはこういうものだ」という思い込みのもとで接すると不快感を与えることがあるので、フラットな気持ちで目の前の相手を尊重してください

フォローアップ質問&チェックバック

取材は質問リストに頼り切って進めるのではなく、取材中の流れに沿ったフレキシブルな対応が重要です。
取材対象者が話してくれた内容をより深く掘り下げるために、適宜フォローアップの質問を投げかけていくと良いでしょう。

インタビューは単なる情報収集ではなく、対話を通じて深い理解を得ることが目的です。
フォローアップの質問によって、異なる視点からの話を引き出すこともできますよ。

特に看護師の方々は、常日頃から数多くの患者さんや症例に触れているため、ちょっとした追加質問がきっかけで重要な情報や洞察が得られることが多いです。
また、記事にするときに誤解や誤報を生まないために、相手の話を正しく理解できているかどうかをチェックバックしながら取材を進めましょう。

プライバシーや医療倫理への配慮を示す

医療従事者にとって、患者のプライバシー保護や医療倫理の遵守は必須のミッションです。
就業中はもちろんのこと、プライベートの場でも細心の注意を払いながら過ごしているといっても過言ではないでしょう。
看護師(ナース)の取材では、具体的な事例や過去の経験などを深くヒアリングしていくこともありますが、相手は常に「どこまで話して良いんだろう?」という不安と隣り合わせ。

もちろん、良い記事を書くためには詳しく話してもらったほうが良い場合もあります。
しかし、こちらから「プライバシーやコンプライアンスに最大限の配慮をする」という姿勢を明確に示さないと、相手は安心して話すことができません
相手が不安に感じる前に、「後ほど原稿のチェックをご依頼します」「掲載NGの内容があればご指摘ください」などの言葉を添えることが、安心と信頼につながりますよ!

看護師(ナース)インタビューのおすすめ質問例

ここからは、実際に看護師(ナース)の方々に取材する際に、おすすめの質問をいくつかご紹介します。

看護師(ナース)へのインタビューでは、どのような方向性の記事であれ、取材対象者の経験やスキル、価値観、専門知識などを理解することが大きな目的です。
また、媒体によっては、看護師の働き方や看護業界の課題なども重要なトピックになるでしょう。

それでは、具体的な質問例を挙げていきますので、メディアや記事の方向性に合わせて活用してみてください。

取材対象者の専門分野と経歴について

看護師(ナース)になるためには幅広い分野の専門知識を習得しなければなりませんが、現場で働いている看護師の方々には、それぞれに専門分野や得意としている分野があります

勤めている病院・クリニックの診療科目、外来看護なのか病棟看護なのかによっても、職務内容は大幅に異なるのです。
また、訪問看護や災害看護など、特殊分野の看護師として活躍している方もいます。
インタビューでは、現在の専門分野と過去に経験してきた分野を、必ずヒアリングしておきましょう

看護師になろうと思った理由・きっかけ

進学系やリクルート系の記事では鉄板の質問と言えます。
進学サイトや学校HP、就職・転職サイトのほか、病院・クリニックのHPやブログでリクルート目的のインタビュー記事をUPしているケースもあるので、需要は高いでしょう。

また、看護師(ナース)個人に対する密着ドキュメント系の記事や、ある専門分野を深堀りする記事などでも、取材対象者の個人的価値観や人間性を伝えるために役立つ質問です。

過去に困難を感じたこと&そのときの対処方法や学んだこと

看護師(ナース)は「大変な仕事」と広く認識されている一方で、その実態を詳しく知っている人々は多くありません
インタビュイーが実際に経験した困難や、それに対する対処方法をヒアリングすることで、臨場感をもって看護師の仕事内容を伝えられる記事になるでしょう。

さらに、インタビュイーの問題解決能力や危機管理能力を伝えたり、その経験がどのように成長や学びにつながったのかを示したりすることもできます。

患者や患者の家族とのコミュニケーションについて

看護師(ナース)の方々は医療技術を提供するだけではなく、患者やその家族とのコミュニケーションにおいても重要な役割を担っています
この部分においては、医師をはじめとした医療従事者の中でも、断トツに存在感が大きいかもしれません。

だからこそ、患者・患者の家族との人間関係の築き方は、看護師を目指している学生や現役看護師にとっても有益な情報になるはず。
プライバシーを厳守することを前提として、印象に残っている患者さんとのエピソードを尋ねてみるのも良いでしょう。

他の看護師や医療従事者との連携について

医療現場ではチームで連携して働くことが非常に重要です。
どんなに優れた技術や知識を持っていても、周囲との意思疎通がうまくできなければ、成り立ちにくい仕事と言っても過言ではありません。

インタビュイーである看護師の方が、普段どのように他の医療スタッフと協力しているのか、自身がどのような役割を果たしてきたのかを詳しくヒアリングすることで、医療現場のリアルがより伝わりやすくなるでしょう。

ストレス解消法や休日の過ごし方について

看護師は心身ともにストレスの多い仕事と言われています。
交代制で夜勤をこなしている方も多いですし、人の命に関わる仕事なので、精神的なプレッシャーも計り知れません。
その中で、患者さんに対して穏やかに笑顔で接するのは、並大抵のことではないでしょう。

プライベートな部分に触れる質問は、インタビュイーの人物像を浮き彫りにしてくれる質問ですが、看護師(ナース)取材の場合は別の意味合いも持ちます。
ストレス度の高い仕事を日々こなすための自己管理方法を学べる質問なので、ぜひヒアリングしてみてください。

看護師(ナース)インタビュー記事の例

最後に、看護師(ナース)に取材して執筆されたインタビュー記事のご紹介です。
さまざまなジャンルの記事から、読者の興味をそそるオススメの記事をピックアップしてみましたので、ぜひ参考にしてみてください!

【タイトル】剛力彩芽主演ドラマ「ドクターカー」のリアル―現場の医師・看護師インタビュー

車内での医療行為が可能な「ドクターカー」に乗る、看護師・加藤登紀江さん、医師・世良俊樹さんへのインタビュー記事。【看護roo!(カンゴルー!)】掲載。人気ドラマで注目されたドクターカーの実態と、日本の救急医療の課題についても言及されている。

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【タイトル】訪問看護師 矢口聡子さん密着取材

訪問看護師として活躍する矢口聡子さんのインタビュー記事。【訪問看護ステーションささえ】HP掲載。近年ニーズが高まっている訪問看護の密着レポートを通じて、矢口さんの人間味あふれる魅力が伝わる。看護師経験を持つ写真家・工藤葵さん撮影のフォトも必見!

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【タイトル】全国にわずか8名 災害看護専門看護師が考える「災害看護」のあり方とは

入職1年目の後輩のサポート役を担う2年目看護師・Sさんへのインタビュー。【三重大学医学部附属病院看護部】HPに掲載。現場のサポート体制や看護に対する姿勢が温かい口調で語られ、新人看護師や看護師を目指す学生の不安に寄り添う内容となっている。

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【タイトル】後輩たちが少しでも仕事しやすいと思える環境にしたい!

入職1年目の後輩のサポート役を担う2年目看護師・Sさんへのインタビュー。【三重大学医学部附属病院看護部】HPに掲載。現場のサポート体制や看護に対する姿勢が温かい口調で語られ、新人看護師や看護師を目指す学生の不安に寄り添う内容となっている。

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【タイトル】神戸常盤大学短期大学部 看護学科通信制課程 卒業生インタビュー

准看護師として働きながら通信教育で正看護師になる夢をかなえた島本ひとみさんのインタビュー。【学校法人玉田学園 神戸常盤大学】HP掲載。正看護師を目指した理由、学校選択の決め手、仕事・家事・介護と学業の両立などについて、前向きに語った文章が印象的。

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まとめ

看護師(ナース)への取材記事は、看護師の仕事内容を深堀りする看護専門のメディアや、病院や学校HPに掲載されている記事が多い印象でした。

もちろん、世の中の注目度が高い職業なので、新聞やテレビで取り上げられることも多いですし、上記以外にも多岐にわたるメディアで看護師(ナース)のインタビュー記事が掲載されています。

もし看護師(ナース)の方々への取材&記事執筆の依頼が来たら、この記事で紹介したコツやポイントを押さえて、有意義なインタビューを実施してくださいね。