俳優・女優、タレント、声優─。芸能人の取材で気をつけたいポイントやコツは?

芸能人へのインタビュー記事は、新聞や雑誌、Web媒体も含めて、主要メディアに掲載されていることが多いですよね。
そのため、「芸能人取材のオファーはないだろう」と思っているライターや編集者の方は少なくないかもしれません。

しかし、芸能人の取材記事は、意外とさまざまなメディアからのニーズがあります。
たとえば企業や学校が芸能人を呼んでインタビュー企画を実施する、イベントレポートの作成に携わるなど、芸能人への取材機会は突然訪れる可能性があります。
プロのライターとして活動していくなら、芸能人取材のポイントやコツを、しっかりと押さえておきましょう!

【こんな方におすすめ!】

  • 思いがけず芸能人取材のオファーが来たけど、経験がなく不安でいっぱい…。
  • ミスは許されない!でも、何に気をつけながら取材を進めればいいのかわからない。
  • 他の取材とは異なる、芸能人取材ならではのコツやポイントを知っておきたい。

芸能人取材の特殊性と重要性

俳優・女優、タレント、声優などを対象とした芸能人取材は、他の一般的な職業の方に対する取材とは異なります。
特に、芸能人という取材対象の特殊性、取材記事が持つ重要性という意味では、通常の取材とは違う心構えで臨む必要があると言えるでしょう。
まずは、「取材対象の特殊性」と「取材記事の重要性」という2つのポイントについて、詳しく解説していきます。

取材対象の特殊性

芸能人の方々は、世間一般からの知名度と世の中への影響力が非常に高く、まさに特別な存在。
数え切れないほどの記事があふれている世の中においても、そのネームバリューをもって非常に多くの読者が取材記事に目を通すことになるでしょう。

ファンの視点からすると、好きな俳優・女優、タレント、アイドル、声優といった芸能人を深く知るための貴重な記事なので、インタビュアーは世間の期待に応えるプレッシャーを感じるかもしれません。
その一方で、芸能人は常に公の視線にさらされており、自身のプライバシーやイメージを守ることについて非常に敏感です。

読者からの期待と、芸能人ならではの特殊な事情─。
芸能人への取材では、これらの特殊性をしっかりと理解しておく必要があります。

取材記事の重要性

芸能人の取材記事は、芸能人自身の思考や価値観を伝える、エンターテイメント業界の動向を伝える、作品についての理解を深めてもらうなどの役割も持っています。

芸能人の発言は読者の関心を強く惹きつけることに加え、記事を通して発信される内容が新しい流行や文化を形成したり、社会的な議論を生み出したりする可能性もあるでしょう。
クオリティの高い取材記事は、芸能人とファンの間に強い絆を生み、エンターテイメント業界全体の発展にも貢献するのです。

その分、読者に誤解を与えるような聞き取りや書き方はご法度なので、取材中は非常に丁寧なコミュニケーションが必要になります。
取材対象の芸能人が語ってくれる言葉を、前述の「特殊性」の部分にも配慮しながら、読者に正しく伝えることが重要です。

芸能人取材のコツ~①事前準備編~

それでは、実際に芸能人取材をするときのポイントやコツを、具体的に見ていきましょう。
まずは、インタビュー前の「事前準備」段階からです。
先方からネガティブな印象を持たれたり、当日のインタビューで会話が弾まずに焦ったりしないためにも、事前準備は非常に重要になります。
これから挙げる内容を参考にして、しっかりと取材当日に備えてくださいね!

オファーは代理人やマネージャーを通す

対人取材を行う際には、当然ながら事前にアポイントを取る必要があります。
ライターが直接オファーをするケースは極めて少ないと思いますが、編集者や広報担当者などはオファーを担う可能性がありますので、簡単に手順とコツを解説しましょう。

俳優・女優、タレント、声優など、芸能人を対象とした取材の場合は、代理人やマネージャーを通して行うのが正式なルートです。

申し込みの際には、自分が誰であるのか、どのようなメディアに携わっているのかを明確に伝え、取材の目的・内容などを具体的に提示します。
さらに、その取材が芸能人に提供できる価値を強調し、「参加したい」と感じてもらえるようなオファーにすることが重要です。
また、芸能人は非常に多忙なので、スケジュールについては柔軟に対応してください。

相手の要望やNG質問をヒアリングする

知名度や人気の高さから、日常的に多くの人々からの視線を浴びている芸能人の方々は、プライバシーを守るために相当な苦労をされていることが多いです。
また、自分自身のマーケティングのために、素顔とは異なるイメージを意図的に演出している方もいるでしょう。

そのため、「この内容を強調したい」などの要望や、NG質問があるケースが多いです。
もちろん通常の取材でも、先方からの要望やNG質問が生じることはあり得ます。
ただ、取材を受ける機会が多い芸能人にとって、毎回インタビュー現場で要望を伝えたり、NG質問が出たときに断ったりするのは、非常に負担が大きいのです。

芸能人取材の場合は、オファーを受けていただいた段階で要望やNG質問を尋ねておいたほうが、後々の取材がスムーズに進むでしょう。

取材対象者のリサーチを行う

対人取材では、取材対象者についての事前リサーチが極めて重要になります。
リサーチを十分行うことによって、質の高い質問で対話を深められることはもちろん、インタビュイーからの信頼を得るためにも必要なステップだからです。

芸能人取材の場合は、過去のインタビューやSNSの投稿などは、ぜひチェックしておきましょう。
俳優・女優や声優の方の場合は過去の出演作品を、タレントの方の場合は出演番組などについても、詳しく調べておくと良いですね。

また、取材対象者が過去に発信してきたメッセージや、どのような問題に対して敏感であるかを把握することで、不快感を与える可能性のある話題を避けることもできます
そのうえで、新しい話題・新しい視点として、これまで語られてこなかった領域に踏み込んでみるのも良いでしょう。

芸能人取材のコツ~②インタビュー編~

次に、取材当日のインタビューにおけるコツやポイントです。
俳優・女優、タレント、声優など、有名な方へのインタビューは大変な緊張を伴うもの。
しかし、良質なインタビューは、インタビュイーとインタビュアーの自然な対話から生まれます。
これから挙げるポイントを心に留めて、リラックスして臨んでみてくださいね。

憧れやファン心理を抑える

芸能人への取材では、憧れやファン心理を抑えて、プロとして臨むことが大切です。
ライターや編集者としてプロフェッショナルな態度を貫くことで、取材の品質や取材対象者との信頼関係が保たれるのです。

もちろん、「出演作品を観て感動しました!」とか、「いつも楽しく番組を拝見しています」などのトークは問題ありません。
大切なのは、一般の視聴者目線のみで語らないことと、適度なバランスを保つこと

芸能人は公の人物である一方で、芸を磨き上げたプロフェッショナルなのです。
ファン心理による過剰な賞賛や親近感をあらわにすると、取材の進行を妨げたり、良くも悪くも偏見を生んで取材の成果に影響を与えるリスクがあります。
取材者としてのプロ意識を維持して、尊敬と親近感のバランスを保ちましょう

時間を厳守する

俳優・女優、タレント、声優、アイドル、芸人…。
どのようなカテゴリであっても、芸能人の方々は皆さん多忙で、スケジュールがぎっしりと詰まっていることが多いです。
その中で取材のために時間を割くのは並大抵のことではなく、大変貴重な機会をもらっています。

だからこそ、決められた時間内で効率的にインタビューを進めることがマスト。
芸能人の方々にとっての「時間の価値」を尊重することは、リスペクトとプロフェッショナリズムを示すことにもつながります。

取材をスムーズに進行させるための手段としては、質問リストの作成がおすすめです。
記事の軸となる質問を用意しておくことで、時間を無駄にすることなく、重要なトピックをすべてカバーすることができるでしょう。

マナーと敬意を忘れない

芸能人への取材では、マナーの守り方と相手への敬意を示すことが極めて重要です。
芸能界は、一般の人々が想像する以上に、礼儀やマナーに厳しい世界だと言われています。
そのため、マナーや敬意に欠けた質問や接し方をすると、ただ不快感を与えるだけではなく、根本的な信頼を損ねるリスクがあるのです。

こちらがマナーを守り敬意を持って接すれば、インタビュイーは安心感を得られます。
そうすると、自身の意見や心の内について、より多くを語ってくれるようになるでしょう。
芸能人の方々の中には、とても気さくな方や、本当は話しにくいことをユーモアいっぱいに語ってくれる人も少なくありませんが、「キャラ」に甘えすぎることのないように礼を尽くしましょう

プライバシーを尊重する

芸能人は「公の人」という印象が強いかもしれませんが、芸能人の方々もまた、一般の人々と同じように、自己のプライバシーを守る権利を持っていることを忘れてはいけません。
公的な生活と私的な生活が重なることがあっても、その境界は尊重されるべきなのです。

そのため、私生活に関することを過度に尋ねたり、許可なく私的な領域に踏み込んだりするような質問は避けましょう

また、取材中は相手の感情に配慮することも求められます。
こちらの質問やコメントが取材対象の芸能人に不快感を抱かせたり、心理的なストレスを与えたりしないように、細心の注意が必要です。
相手の立場や感情を尊重しながら、丁寧かつ敬意を持った態度で取材を進行するようにしてください。

芸能人インタビューのおすすめ質問例

芸能人への取材の際には、取材対象者の専門性やパーソナリティ、作品や番組の魅力などを存分に引き出せるような質問をすると良いでしょう。
いくつか例を挙げますので、記事のテーマや掲載媒体に合わせて、ぜひお役立てください。

キャリアの中で最も記憶に残る経験

「これまでのキャリアの中で、最も記憶に残っている経験は何ですか?」
「その経験は、今現在の自身にとって、どのような意味を持っていますか?」

特に印象的だった瞬間や、自己成長の重要なターニングポイントを尋ねる質問です。
この質問は、これまでのキャリアの中で培われてきた個性や価値観、芸能活動の原動力になっているもの、仕事へのスタンスなどを、深く理解するために役立ちます。

芸能人の深層心理に触れることで、より充実した内容を読者に提供し、芸能人と読者のエンゲージメントを深めることができるでしょう。

最新の出演作品や出演番組について

「参加した最新の作品・番組について教えてください」
「出演作品(番組)において、特に誇りに思っているところや、挑戦した点は何ですか?」

芸能人の方が参加した最新の作品・番組についてのコメントを引き出す質問です。
作品や番組に対しての取り組み方、才能や情熱、さらには努力の部分にもスポットを当てることができます。

また、芸能人の方々のプロフェッショナルな姿勢やパーソナリティへの理解も深まるでしょう。
さらに、作品や番組の背後にあるストーリーを共有することで、読者や視聴者の興味関心が高まり、鑑賞の楽しみが増すことも期待できます。

仕事前の準備やルーティンについて

「役を演じる際やパフォーマンスを行う際、どのような準備をしていますか?」
「固有のルーティンやリハーサルの方法はありますか?」

芸能人の方々の仕事への取り組み方やプロセスを紐解くための質問です。
芸能という特殊な世界で成功している方が、最高のパフォーマンスをするために日常生活の中でどのようにセルフコントロールをしているのか─。

創造性にあふれる芸能人の方々のプロセスやルーティンに関する深堀りは、読者にとっても魅力的な情報であり、貴重な学びにもなるでしょう。

エンタメ業界で成功する秘訣

「エンターテイメント業界で成功するための鍵は何だと思いますか?」
「ご自身の成功体験や、そこに至るまでに経験した困難についてお聞かせください。」

芸能人として成功をおさめた方が、どのようにして自己実現を達成したのか、その仮定でどのような困難に直面して克服してきたのか─。

この質問は、一般の読者や視聴者はもちろん、芸能界に興味がある方や、芸能界で成功するために努力している方にとっても有益な情報となります。
また、取材対象である芸能人の価値観や人間性、モチベーション、哲学などを示すためにも役立つでしょう。

芸能人インタビュー記事の例

最後に、俳優・女優、タレント、声優の方々などを対象に実施された、実際のインタビュー記事をいくつかご紹介します。

俳優・豊川悦司さんのインタビュー記事


記事タイトル:豊川悦司が今、時代劇に挑むワケ「僕は危機感を抱いています」
関西を遊ぶニュースサイト【Lmaga.jp】に掲載された記事。テーマは出演作品の「仕掛人・藤枝梅安」。俳優として確固たる地位を築いている豊川悦司さんの、役に対する真摯な姿勢や葛藤が読み取れる。

タレント・はるな愛さんのインタビュー記事

記事タイトル:自分のコンプレックスと向き合い克服したとき 人生の歯車が回り始めました
金融広報中央委員会が運営する、お金の知恵・知識情報サイト【知るぽると】に掲載された記事。メディアのテーマである「お金」を軸に、はるな愛さんの個性や人間性、社会問題に対する思いや取り組みなどが語られている。

アイドル・田原俊彦さんのインタビュー記事

記事タイトル:ジャニーズ問題は「言わないよ」も…「アイドルは過酷。僕もそうだった」
山あり谷ありの芸能人生を歩み、2024年に芸能活動45年目を迎える田原俊彦さんへのインタビュー。【ENCOUNT】掲載。際どい質問もあるが、根底にリスペクトと信頼関係があり、田原さんの本音と魅力的な人間性が引き出されている。

放送作家・鈴木おさむさんのインタビュー記事

記事タイトル:「共働きの秘訣は相手の立場をシミュレーションすること」【1122(いい夫婦の日)】
求人情報サイトが運営するメディア【TOWNWORKマガジン】に掲載された記事。テーマは「共働き」。妻・大島美幸さん(芸人)との家庭生活や共働きの体制づくりや秘訣について、夫からの目線で等身大に語られている。

芸人・大島美幸さんのインタビュー記事

記事タイトル:「共働きの秘訣は顔を見ながら“ホウレンソウ”をすること」【1122(いい夫婦の日)】
夫・鈴木おさむさんの記事とともに、【TOWNWORKマガジン】に掲載。夫と妻の両方にスポットを当てる興味深い企画。鈴木さんへのインタビュー同様、あくまで「働く妻」としての自然な語り口が魅力的。

まとめ

ライターや編集者として活動しているなら、一度はやってみたい芸能人取材。
大手の出版社や編集プロダクションに勤めていなくても、メディアの種類が多様化している今、思いがけないチャンスが巡ってくるかもしれません!

もし機会に恵まれたら、相手を最大限にリスペクトしながら、自身もプロフェッショナルとしての矜持をもって、誠実に取材に臨むようにしたいですね。