エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロン取材の極意とは?

近年は美容に対するニーズが高まり、老若男女を問わず美容サロンに通う世の中になっていますよね。
エステ、ネイル、脱毛などは、今や多くの人々にとって日常生活の一部であり、美容業界のなかでも中心的な存在です。

注目度の高い業界・業種であることから、エステティシャン、ネイリスト、脱毛サロンのスタッフ等の取材記事を書く機会が増えているのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロンの取材について、コツや注意点を解説していきたいと思います。

【こんな方におすすめ!】

  • はじめてのビューティーサロン取材で、どのように進めたら良いかわからない
  • エステ・ネイル・脱毛の経験がなくても、うまく取材できる…?
  • キラキラした世界・美意識が高い相手への取材で、何となく気おくれしてしまう…

エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロン取材の失敗あるある

どんなに場数を踏んできたインタビュアーでも、取材は緊張感を伴うもの。
できることなら、失敗することなくスムーズに取材を進めたいですよね。
そこで、エステ・ネイル・脱毛など美容系の取材において、プロのライターが実際に経験した失敗例をいくつかご紹介してみましょう。

取材対象に関するリサーチが不足していた

対人取材では、業界や取材対象について事前リサーチをして臨むのが基本です。
しかし、インタビュアーにとって身近な業界であればあるほど、リサーチが甘くなってしまう傾向があります。

現在はエステ・ネイル・脱毛などを日常的に利用する方が増えており、実際に顧客として通ったことがあるインタビュアーも多いでしょう。
だからといって、「エステティシャンやネイリストの方々とは、いつもよく話しているから大丈夫」などの油断は禁物です。

そもそも「スタッフ対顧客」のコミュニケーションと「インタビュアー対インタビュイー」のコミュニケーションは別物ですし、美容業界は専門的な要素も多いため、リサーチが甘いと相手の話を深く理解できません
顧客の立場からの経験に甘えず、事前準備はしっかりと行いましょう。

サロンの紹介記事なのに個人の話ばかり聞いてしまった

記事で「サロン or 個人(エステティシャンやネイリスト)」のどちらにフォーカスするのかは、インタビュー中も常に意識しておく必要があります。

どちらのケースでもインタビュイーはスタッフであることが多いため、たとえ記事のメインがサロンのことであっても、個人の話で盛り上がることがあるでしょう。
しかし、記事の趣旨に沿ったインタビューができていないと、記事化するときに情報が不足して、メール等で追加質問が必要になるリスクが生じます。

取材対象者のプロフィールの執筆に必要な内容や、トピックに対する深い洞察を得るために、インタビュイー個人の情報や見解をヒアリングすることは必要です。
ただし、サロンにフォーカスする記事のためのインタビューでは、趣旨から逸れすぎないように注意しましょう。

他のサロンの話題を出しすぎてしまった

エステサロン・ネイルサロン・脱毛サロンなどに、インタビュアーが実際に通ったことがある・通っている場合、自身の経験から出る質問や、比較ありきの質問が多くなりがちです。

顧客の立場からの経験や他社との比較をもとにした質問自体は、内容の深堀りに役立つので、決して悪いことではありません。
しかし、他社に関する発言があまりにも多すぎると、「何のために他社のことばかり話してくるんだろう…?」と思われて、微妙な空気になってしまうことも。

「どのように他社との差別化を図っていますか?」「顧客としてこういう経験をしたのですが、同じようなケースではどのように対処されていますか?」など、質問に明確な目的があれば良いのですが、むやみに多発しないよう気をつけましょう。

エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロン取材のコツ~①事前準備編~

充実した記事につながる取材をしようと思ったら、取材の事前準備が不可欠です。
そこで、美容系取材の前に押さえておきたい事前準備のポイントをいくつかご紹介します。

取材対象の基本情報をリサーチする

まずはインターネットを利用して取材対象の基本的な情報を集めましょう。

取材対象がサロンである場合は、オフィシャルサイト・オフィシャルブログ・サロンのSNSアカウントが貴重な情報源になります。
口コミサイト等に寄せられているカスタマーレビューなどにも目を通しておくと、サロンの特長や評価されているポイントがよくわかります。

ひとりのエステティシャンやネイリストにフォーカスした記事を書く場合で、個人のSNSアカウントがあるようなら、ぜひチェックしておきたいところです。

業界や施術についての基本的な知識を得る

ひと口に「美容サロン」や「エステティシャン」といっても、さまざまな手法や種類がありますよね。
そのため、その業界の概要や旬のトピックは、ひと通りの知識を得てから取材に臨むことをおすすめします。

美容業界に強い方や「エステに通ったことがある(通っている)」「ネイルを日常的にやっている」という方でも、あらためて最新のトレンドや技術のリサーチを行っておいたほうが無難です。

また、取材対象が具体的にどのような施術・サービスを提供しているのかについては、できるだけ正確に把握しておきましょう。

取材依頼書や質問リストの作成と共有

対人取材は、「誰に、どのような内容を届けることが目的の記事なのか」を明確にしたうえで進める必要があります。
取材目的が定まらないまま取材を進めると、記事作成のために必要な情報が抜けてしまったり、全体的に曖昧な内容になったりして、記事化の際に苦労することになるからです。

取材目的と記事の方向性が明確になったら、取材依頼書や質問リストを作成して、取材対象者にも事前に共有することをおすすめします。
ただし実際の取材では、予定外の質問をしたり、回答を深堀りしたりする時間も必要です。
質問リストは「これだけは必ずヒアリングしたいこと」に留めておくと良いでしょう。

エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロン取材のコツ~②取材編~

次に、取材現場における心構えやポイントについて解説していきましょう。

エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロンのスタッフなどのインタビューでは、「まったく知らない世界ではないために油断してしまう」・「未知の世界すぎて気後れしてしまう」という、相反する2つのケースが想定されます。

メンタルが言動に表れて取材がぎくしゃくしてしまわないように、これから挙げるポイントを押さえたうえで、心のウォーミングアップをしてから臨んでみてください。

美容業界・美容サロン・美容スタッフへの先入観を捨てる

エステサロン・ネイルサロン・脱毛サロンなどは、老若男女を問わず誰もが気軽に通える場所になっています。
その一方で、エステティシャン・ネイリスト・各種美容スタッフについては、「特に美意識の高い人がなるもの」というイメージを抱いている方も少なくないのではないでしょうか。
特に、自分自身があまり美容に関心を持っていない場合は、まるで別世界の人のように感じることもあるでしょう。

しかし、実際に美容業界にいる人たちに話を聞くと、「自分にコンプレックスがあったからこそ美容業界を志した」「施術をきっかけに少しでも明るい気持ちになってほしい」など、美容がもたらす内面的な部分への影響を重視している方が非常に多いのです。
美容業界の最前線にいる人々でも、顧客と同じように悩み、共感してくれる方がほとんど。
インタビューでは先入観にとらわれず、ぜひ内面的な部分にアプローチしてみましょう

施術効果やエピソードではプライバシーに配慮する

エステ・ネイル・脱毛などの美容系の取材では、施術の効果や顧客とのエピソードについて尋ねるケースが少なくないでしょう。

その一方で、美容に関することは、個人にとって非常にデリケートな内容でもあります。
たとえ実名を出すわけではなくても、人によっては「話してほしくない」「公開してほしくない」と思うケースもあるのです。
そのため、「どこまで詳しく聞いて良いのか」を常に配慮しながら進めなければなりませんし、「ヒアリングしたことをすべて記事にして良いのか」の確認も必要になります。

取材に慣れているインタビュイーであれば、向こうから「オフレコですが…」という前置きをしてくれるかもしれません。
しかし、インタビュアー側から配慮できたほうが、先方は安心して話すことができますし、こちらの取材姿勢に対する信頼にもつながるでしょう。

リラックスできる雰囲気づくりをする

どのような取材においても、インタビュー中は「リラックスして話せること」がキーポイントになります。
人は気持ちがリラックスするほど、心を開いて深い話ができるようになるからです。

ただし、気持ちをほぐすために適した声かけやアプローチは、人それぞれに異なることも事実。
前述の「先入観」の話にも通じる部分がありますが、「美容スタッフの方は、このような雰囲気を好むだろう」といった、十把一からげの考え方は危険です。

顧客とのコミュニケーションを日常的にこなしている美容スタッフですが、本当はコミュニケーションに苦手意識があったり、顧客or顧客以外の相手ではコミュニケーションの手法を変えていることも多いです。
対話の中で相手の表情や会話の間を読み取り、目の前にいる取材対象者がリラックスできる最適解を見つけていきましょう

エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロン取材のおすすめ質問例

それでは、エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロン等に取材する際に、おすすめの質問をいくつかご紹介していきます。記事を掲載するメディアの種類や読者層に合わせて、効果的な質問をセレクトしてくださいね。

インタビュイーの経歴・経験について<

プロフィールに必要な情報であるとともに、インタビュイーの人物像を伝えるための本文内トピックとしても役立つ内容です。
独立開業やフリーランスで活動しているエステティシャンやネイリストからは、いずれ独立を目指している読者に役立つ情報が得られるでしょう。

経歴やプロフィールは、取材前に資料やHPなどでリサーチ済みかもしれませんが、インタビューの場でも軽く追加質問をしながら再確認するのがおすすめですよ。

美容業界を目指したきっかけ

美容の道を選んだきっかけを聞くと、インタビュイーの情熱やビジョンを理解することができます。
特に進学系や就職系の記事では鉄板の質問なのですが、回答はまさに十人十色。

それぞれが持っている個々のストーリーは、美容業界を志す人々や顧客との共感やつながりを生んでくれます
記事にも深みや人間味が加わり、読者の興味を引くコンテンツになるでしょう。
数ある美容業界の仕事の中で、今の職種に魅力を感じた理由をヒアリングするのも良いですね。

サロン・スタッフの特徴や差別化要素について

エステサロン・ネイルサロン・脱毛サロンなどは、需要の高まり(ユーザーの増加)を受けて、急激に数を増やしています。
その分、同業他社との差別化に苦慮している美容サロン・美容スタッフが多いことも事実。

記事の主訴は掲載媒体や読者層によって異なりますが、サロンやスタッフのPR、集客、求人募集などを目的とした記事では、他社との差別化は非常に重要なポイントになります。
「他社と比較したときの強み」や「大切にしている考え」などについて、積極的にヒアリングしてみましょう。

経営戦略やSNSマーケティング等について

エステ・ネイル・脱毛などの美容サロンは各地で増えています。
また、若いうちから独立して個人サロンを開いている方や、フリーランスで活動している方も少なくありません。

たくさんのサロンがひしめく中で顧客を獲得していくためには、経営戦略を練る必要があります。
成功しているサロンや個人事業主が発信する経営戦略やSNSマーケティング等の極意は、美容業界で成功したい方や将来独立を目指している人々にとって、大変有益な情報となるでしょう。

施術・サービス・接客へのこだわり

美容には、単に「見た目をきれいにする」だけではなく、美しくなることを通して気持ちを明るくする、人生を豊かにするなどの意義があります。
エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロンのスタッフ等は、それを強く認識しており、真心をこめて日々の施術や接客を行っている方が多いのです。

施術・サービス・接客へのこだわりは、美容の仕事に対する情熱が表れる部分なので、ぜひヒアリングしてみましょう。
特にPRや集客を目的とした記事の場合は、良いアピールポイントになりますよ。

エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロン インタビュー記事の例

最後に、エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロンへのインタビューで、おすすめの記事をご紹介します。
サロン紹介が主目的になっている記事と、個人にフォーカスした記事の両方をピックアップしていますので、取材・ライティング時の参考にしてみてくださいね。

【タイトル】私の手にしか、できないシゴト。

東京ビューティーアート美容専門学校で講師を務める藤原菜穂子さんのインタビュー記事。【moreリジョブBEAUTY】掲載。エステティシャンを志したきっかけ、サロン勤務時代の経験、教育者の仕事の醍醐味などが、豊かな文章で綴られている。

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【タイトル】CREA COULEUR(クレアクルール)で活躍するエステティシャンにインタビュー!

東京・中目黒のサロン「CREA COULEUR(クレアクルール)」所属のエステティシャン(実名公表なし)へのインタビュー。ビューティー業界専門求人【BeAle】掲載。シンプルな構成ながら、サロンの雰囲気やインタビュイーの人柄がよく伝わる記事。

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【タイトル】ネイルは命を削って挑むエンターテイメント。お客さまを魅了するオンリーワンのサロンはどのように作られるのか

海外からも注目される男性ネイリスト・KAIさんのインタビュー記事。【Nailie(ネイリー)】掲載。独学でネイリストを志してから自宅サロン開業までの経緯、SNS集客の成功、ネイルへのあくなき情熱などが、親しみやすい口調でドラマチックに語られている。

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【タイトル】ネイリスト| プロフェッショナル夢名鑑

「Beauty Salon MYU MYU」店長・伊藤由香さんのインタビュー記事。【aruku】掲載。ネイリストを志したきっかけ、スクール時代のこと、資格について、実際の仕事内容などが丁寧に書かれ、これからネイリストを目指す読者に役立つ内容となっている。

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【タイトル】親子で通える脱毛サロン『ESTEAQUE(エスティーク)』へインタビューしました

地域密着型のアットホームな脱毛サロン「ESTEAQUE(エスティーク)」広報宣伝室室長・西井麻莉さんのインタビュー。【脱毛ピース】掲載。施術やサービスへのこだわり、お客様とのエピソード、トラブルへの対処法など、サロンの特長や魅力を伝える情報が満載。

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まとめ

エステティシャン・ネイリスト・脱毛サロンなどのインタビュー記事が載る媒体としては、進学系や就職活動系など学生向けのメディア、同業者向けの情報発信メディア、PR・集客が目的のメディアなどが挙げられます。

記事の目的に合わせて読者に刺さる質問を準備しておき、相手と対話をしながら臨機応変に深堀りしていくことで、きっと魅力的な記事が書けるはず。
インタビュアーとインタビュイーが、ともにリラックスできる雰囲気でインタビューを進めて、取材対象者の本音に迫ってみてくださいね。